グインサーガの７２巻目を読んでみた

　「苦悶」て……凄いタイトルだな。

パロの苦悶―グイン・サーガ(72) (ハヤカワ文庫JA)

　「アルド・ナリス遂に起つ」その報せは静かにクリスタル中を駆け巡り、人々は広場に集結し始めた。聖王宮に近いランズベール城に立て篭もったナリスのもとにヤンダル・ゾックが正体を現し、彼の最も愛する者達の身柄を盾に降伏を迫るが、ナリスは気丈に脅迫を撥ねつける。翌日、ナリスの決起に呼応する民衆たちに対し、竜頭の異形の騎士団が突如現れ襲いかかった！

　いくらヴァレリウスじゃなかったからといって、あの反応はちょっとアルノーが可哀想な気がする。仮にも加藤さんの絵の頃からの旧い付き合いなんだしさ……（違）。

　強烈な宣戦布告をしかけたり、（フェイクだったけど）魔道師の死体を降らせてナリスをびびらせたり、劇的なタイミングでまさかの新兵力？を投入してきたり、ツボを心得ているヤンダルのラスボス（だよね？）っぷりが素敵。オラ、なんだかワクワクしてきたぞ！（←非道い読者ｗ）表面上は平然どころか人質に対し冷淡な態度を保ちつつも、本心は（リンダに危害が加えられないのは１００％確信しているとして）ヴァレリウスの安否が気になって気になって気になってしょうがないナリスの描写も好き。ヴァレリウスが知ったら感動のあまり昇天するんじゃない？
　グインに援軍を要請することも考慮に入れ始めたナリス。そのグインは王様になってからケイロニアで何をやってるんでしょう？あーた、外伝では「ケイロニアに戻ったらキタイの脅威を訴え中原じゅうに檄を飛ばすつもりだ」とか云ってなかったっけ？あと、パロの魔道師たちの霊の伝言をギルドに届ける約束はどうなった？？？

　読み方、意味を調べた漢字。矍鑠、かくしゃく。老人が丈夫でいること。膾炙、かいしゃ。多くの人の口にのぼること。鎧袖一触、かいしゅういっしょく。鎧の袖が触れただけで打ち負かしてしまうほど、簡単に相手を倒すこと。