かんまんこうろうひ・はてなブログ編

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果たして愛はむきだしていいものなのか?むきだすべきなのか?

 長尺映画苦手の自分であるが、この映画はまあ楽しめた部類に入る方。

愛のむきだし [DVD]

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 「父親に愛されたいあまり盗撮行為に没頭する少年」「クラスメイトの女装姿にそうとは知らずに恋してしまったレズ少女」「父親に虐待されてきたトラウマから新興宗教に入り幹部にまで上り詰める少女」「怪しい宗教にハマった妹を救い出すべく孤軍奮闘する兄」どれもこれも単独でも十分、そこからひとつの映画が作れそうな設定ばかり。これら全部をまるまるぶっこんでひとつのストーリーにしたらそりゃ4時間もの大作になるわなー。ちなみにタイトル文字が出るのは開始1時間も経った頃。どんだけ壮大なんだ!以下ネタバレです。ラストに触れます。

 いろんな意味で強烈な場面が多くてクラクラすることしきり。盗撮シーンの無駄にアクロバティックな動きなどは、強引な展開ばかりが続く世界観なので返ってそれが普通であるものと違和感なく受け入れてしまった。ワン※ースのゾロみたいな構えで盗撮するのには大爆笑したけど。
 あくまでも「まあ楽しめた」に過ぎないので、そこまでこの作品と向き合う気持ちは無い自分。ヒロインが海岸で聖書の一節を絶叫する場面の意味や、教団の若き女幹部が胸で飼ってたインコの指し示すもの、またその女幹部が主人公に目をつけた理由、そして主人公達が「ヘンタイ」にこだわる理由などなど、作品世界の織り成すテーマ等についてはさっぱり判らなかったし、吟味するつもりも全く無し。ただ、いろいろ詰め込んではいるけど、とどのつまりはひと組の男女の愛の行方に4時間もかけて(その内、出会うまでに1時間かけて)、長い長いすれ違いの末に初めて気持ちが通じ合った処で終わりという構成のニクさには、ただただ眩暈が!ベン・ハーよりも風と共に去りぬよりも時間をかけておいて、ようやく二人の手が繋がったところでエンドマークって、どんだけ贅沢かつ残酷な愛の物語なのか!と。……冷静に考えたらあの二人があの後幸せになれるかというと、主人公は精神病棟に入ってる身だし、しかも一応殺傷事件の犯人だし、あの場面パトカーのドアは開かない造りだろうし……唯一の至福な一瞬で世界が止まったとも取れるんだけども。そう考えるとまた、究極に鮮烈な恋愛映画だなぁ、とも。
 劇中、全てに背かれてしまった主人公に、彼の不良仲間たちがぎこちなくも篤い友誼を見せる場面に思わず( ;∀;) ジーン。どぎつい登場人物たちのなかで、唯一親しみを感じられたのがこの悪友どもであった。「理解はし易かった」のは義母役の渡辺真起子さん。一番誰にでも判る形で愛をむきだしているキャラであったが、実際にあんな人がノンストップで迫ってきたら超絶困るだろうなぁ(と考えると「愛のむきだし」ってあまりありがたくないことなのかも……)。

 主役の男の子(西島隆弘さん)が非常に頑張っていて、どこの劇団のホープなの!?と思ったらアイドルで、しかも「電王」の主題歌の子と知って非常にビックリ!高校生役であったヒロイン二人(満島ひかりさん、安藤サクラさん)が既に人妻(結婚したのは映画公開後)というのにもビックリ!まだ3年前の映画なのに……。とあるシーンでおなじみロフトプラスワンががっつり出てきたのにも驚いたぜっ!!!