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「青きドナウの吸血鬼」を読んでみた(93年発行)

青きドナウの吸血鬼 (コバルト文庫)

青きドナウの吸血鬼 (コバルト文庫)

  • 1話目。危険な超能力に目覚めた女性が、能力を暴走させて自分を虐める男達に復讐する話。またまた出てきた超能力少女復讐モノ。ホラー映画ファンである赤川先生は「キャリー」に思い入れがあるのだろうか?もちろん彼女のようにバッドエンドに陥ることはなく、いじめっ子たちと完全和解のち、彼らのうちの一人と恋が芽生える結末なーんてハートフルオチだけど(ここらへん復讐完遂系が好きなネット世代にはぬるいかも^^;)。にしても思い込みの激しさで超能力を暴走させる彼女なんて、いつ何が切欠で爆発するか判らなくて危なすぎるw
  • 2話目。12巻目にしてついにエリカたちがクロロックの故郷・トランシルヴァニアに上陸!と思いきや、表題にもなってる通り、そこへ向かう途上のウィーンで話が終わってしまった。大企業の女社長の渡欧に、下請け会社のクロロックが仕事目的で同道する展開であったが(エリカ曰く「お父さんの月給で海外旅行は無理」ヒドイ(;´Д`))、彼女の好意でエリカや涼子、虎之介のみならず、みどりや千代子までもが「一緒に行きましょうよ」とアッサリ招待される(で、みどりたちもそれを躊躇なく受け入れる)というのが、不況前の物語とはいえ非常に無理があると思えたのは、当方の発言※町の読みすぎかw。実は太っ腹な女社長には敵対する実母と実兄がおり(継母としなかったのは、同じく後妻を迎えているクロロック一家に対する作者の配慮?か)、彼らに命を狙われる女社長をクロロックとエリカが守るというのが今回の話の肝であったが、当シリーズにしては珍しく完全には解決せず、物語はトランシルヴァニアに続くと示唆する終わり方であったが……。
  • 3話目。引き続きヨーロッパ編、なのだが、またまたウィーンで話が終わってしまった。しかも前の話で立った、「命を狙われる女社長」のフラグとは全く関係ない事件の話だったし。巻をまたいでいよいよ次回、トランシルヴァニアに入ってお家騒動ネタも完結編になるのかな……と思ったら、次の巻は普通に日本での話のようで。どうなっちゃってるの~ッ〈汗)!?ウィーンが舞台ということで「第三の男」ネタがホンの少し挟まれているが、エリカたち三人娘が全く判らずスルーしてしまうというのがちょっと切ない(ここら辺作者の実体験が入っているのでは?と推測)。

 この巻末にはイラスト担当の長尾治氏のコメントが寄せられている。ウィキペディアの項目は今のところ存在しないし、代表作はこれと「星へ行く船」シリーズしかない人だし*1で、引退された今となっては結構貴重な寄稿だと思うのだが。イラストメイキングの裏話等が載っていたが、カラーはアクリル絵の具、白黒は線画とベタを駆使するおっしゃるこの方、この次の次の巻あたりからMacで手がけ始めるんだよね(^^;)。

*1:これは推測ですが、独立したイラストレーターではなく集英社の方だったのではないかと……。