久々に書く

　ギリギリまで迷ったが、終業後、センバツ甲子園へ直行した。早稲田実ｖｓ関西の７回に間に合った。ライト側外野席に腰を下ろす。カクテル光線の中を逆転ホームランが飛ぶ。延長再試合の魔物の仕業はこんなものか、と思っていると、目前で壮絶な真・魔物の降臨を目の当たりにすることになった。ライト守備の後ろをものすごいスピードでボールが転がっていく。それを追っていった筈の関西のライト子の姿はフェンス際に隠れたまま一向に出てこない。何が起こっているのかは想像できた。胸が痛い。何分間にも思える一瞬。アルプスが凍りつく、というのを初めて観た。ゲームセットと同時に上空の真っ暗闇に白い粉雪が舞っていた。なんという幻想的なラストシーンか。寒いことなど、すっかり忘れていた。体中の血が燃えていた。