かんまんこうろうひ・はてなブログ編

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銀河英雄伝説@TAKARAZUKA ネタバレ有

 二週間程前のことになりますが、このお芝居を見に行っておりました。むふふ、人生二度目の宝塚*1。でもって今年2回目の「舞台版銀英伝」!いや、面白かったです。あんまり面白くて見応えもあったので一昨日にもう一回見に行ってしまったw(爆)。DVD化されたら買いそう(爆爆)。

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 以下、感想を簡単かつ好き勝手に羅列。念のため折りたたむ也。

  • な、な、なんとフィナーレパレードのエトワール(先陣を務める人。普段は娘役が担当することが多いらしいが……)はヤン・ウェンリーシャンシャン持って大階段のド真ん中で歌うヤン提督を観ることになるとは……。
  • 宝塚舞台化にあたって大きな変更点は(恐らく)二つ。まずはラインハルトとヒルダの描写。元帥昇進式で原作内容を前倒しして早くもドレス姿のヒルダが登場し、宴席でラインハルトがヒルダの手を取ってこっそりバルコニーへ逃亡→語らいだなんて、とっても少女漫画(笑)。しかもフロイラインではなく最初からヒルダ呼ばわり(!!!)。ラストシーンもこの二人で流れ星を見送って締めるし。
  • とはいえこの辺り、宝塚らしい改変ではあるが、二人の距離感自体は原作と大して変わらなかった感。せいぜいヒルダからラインハルトへの崇敬の念を強調してるくらいで(自分から元帥府に「雇って下さい」と押し掛けてくるw)。見方によっては恋愛感情も混じってる……かな、と解釈できる程度とも。
  • 二つ目の変更点は、これは原作クラスタからすれば正直「思い切ったな」と感じました。な、な、なんとラインハルトが皇帝陛下を赦しちゃった!?いや、はっきりとそう表明したわけではないけれど、皇帝の臨終の席に呼ばれてほんの少し本音で語り合うシーンがあって、「俺の最大の味方が皇帝であったとは……」とひとりごちる処がありまして。このセリフでも十分、原作クラスタにとっては大胆な改変だと思うのですが。堀※さんの声では絶対に想像がつかない。で、その後の門閥貴族たちとの戦いは「復讐」ではなく(皇帝の遺志を継いで)「あくまで万民の為」であることが強調されるのは、やはり主役は「ヒーロー」であることが望ましい宝塚だから?
  • で、ラインハルト様ですよ。マントのひるがえりがいちいち「どれだけ練習したの!?」ってくらいサマになっている(爆)。あのマントひらひらをみるだけでもチケット代払う価値がありますでやんすよ。ちょっと歌は門閥貴族組やトリューニヒトに負けてると思ったけど。キャラクター的には、原作よりもア二メよりも“弱さ”を露呈するラインハルト。ヴェスターラント攻撃もあくまで意図的にスルーするのではなく、どうすべきが迷っているうちに攻撃が早められて、結果的に間に合わなかっただけ、という展開だったし。
  • オーベルシュタインは見た目も妖しさ全開だったのだが、一人だけ大仰かつ独特の喋り口調であった(なぜか連想したのは映画版「柳生一族の陰謀」の萬屋錦之介)。すぐに慣れたし、すごく背が高くてカッコ良かったけれど(身長という条件のみならこの人がキルヒだよなぁ……とも)。なんと今回の舞台ではこのオベ様で笑いを取る箇所があって、しかも2度。元帥府にやって来たヒルダを見て「え?」みたいな反応を見せる処は最高であった(笑)。
  • オベがラインハルトにとってのメフィストフェレスで、キルヒは良心であるという心象風景を表すダンスシーンがあるのだが、ここが非常に※※な三角関係ちっくでですね(^^;)。ここで二人の間で翻弄されるラインハルトも、これまでのイメージとは違う感じでした。
  • 双璧はじめ、ラインハルト元帥府のメンバーがあまりお話に絡んでこなかったのは……仕方がない。にしても「戦闘機乗りからの叩き上げ」ケンプ、「射撃の腕は随一」ルッツ、「猪突猛進、勇猛果敢」ビッテンフェルトはともかく(そんな風に自己紹介を歌って行う場面があるのです)、ワーレンは義手になるのはまだ先だからなぁ……ということで、一人だけ「どこまでも忠誠をお誓いいたします」みたいな感じで当たり障りがなくてちょっと可哀想だった(^^;)。
  • あと、リップシュタット戦役の前夜に提督たちがそれぞれの伴侶と「戦いの前の大切なひとときを過ごそう」と歌う箇所があるのだが、ミッターはエヴァ、ロイはその場限りの彼女をお相手するのは当然として、ビッテンも美女をはべらしていた!しかも二人。
  • 門閥貴族達の陰謀の歌が非常に上手くて吃驚です。プロージット!シュザンヌ様のあの末路はある意味、原作よりもえげつないような……。
  • しかしながら、宝塚オリジナルの設定として、ブラウンシュバイク公の家族の避難先がウェスターランドって、ひどいフラグだ(汗)。この台詞が出てきた瞬間、劇場内の原作クラスタが思わず反応したのを私は見逃さななった(大嘘)。
  • これまたオリジナル展開として、ヒルダが門閥貴族の暴政についてラインハルトに手紙(メール?なんか女児向け玩具みたいなPCだったが……)を送るシーンで「洪水がおきて大勢の人が苦しんでいるのに、領主が弱小貴族だった為十分な援助が受けられず~」のくだりは現実(以下略)。
  • 尺の都合上多くのキャラクターを割愛した中で、あのオフレッサーだけはきちんと出してきたのはお見事!弱かったけど(すぐに負けた)。ちゃんと大柄で、トマホークもブン回してた。
  • おーい、ルビンスキーに髪の毛があるぞー(汗)!折角、ルビンスカヤが見れると思ったのに。ルビンスキーは今回、第三勢力というよりは、愛人のドミニクとセットで世界観の案内役。二幕目では歌って踊りながらアムリッツァがどうの、ヴェスターランドがどうのとダイナミックに説明。
  • トリューニヒトのあのアスターテ慰霊演説がまんま歌になっててビックリ!しかもラインハルトより(略)。
  • にもまして、あのヤンが一人でジェシカを守って憂国騎士団相手に立ち回って撃退しちゃったのにもビックリ(かなり殴られ、ユリアンの機転に助けられてたけど)! 河村ヤンとはまた違った、凛々しさと人間的深さを感じさせる素敵なヤンでした。ユリアンとのコミカルな掛け合いも楽しかった。
  • 第一部(アスターテ~皇帝の死)もそれなりであったが、第二部(リップシュタット~キルヒの死)が物凄い駆け足展開で……あれじゃ愚かな門閥貴族の下で必死に本分を尽くすアンスバッハ(終始クールでカッコ良かった!この人とキャラが被るからオベはあんな大仰な台詞回しにしたのだろうか?)の誠が伝わらないよ~。ラインハルトとキルヒが喧嘩してすぐに暗殺未遂の場面に突入するので、「二人の哀しいすれ違い」「ラインハルトが人生最大の失敗をおかしてしまった」としみじみ実感する間もなかったし……。
  • ダイジェストの二幕であったが、捕虜交換式の場面には非常に力を入れてたような。そりゃもう、もう一方の舞台版ではやってない(やれない?)「名場面」ですからな~(パンフを読む限り宝塚側はらいとすたっふ版のことは意識してるみたいですし)。「国と道が違ってもわかりあえる時は必ずある」と。この時舞台の端っこで工作員のリンチも一緒に歌っているが彼の心中は如何に?
  • 休憩を挟んで3時間の舞台であったが、ラストシーンとフィナーレの間にミニレヴューショーのようなコーナーがあって、ここでは全員、軍服もドレスもカツラも脱いでレヴュー用の装いで現れ歌い踊る。その後、フィナーレでは改めてそれぞれの役の衣装で登場。手間がかかるというか、贅沢な趣向というか……!
  • 最後に、ネット上の感想を観ると男性ファンが興味あるけど「宝塚だから」という理由で尻込みしてる意見をチラホラ見かけましたが、普通に男性客はおひとりさまなりグループなりで来場しておりましたですよ。1回目時の私の背後も原作ファンらしき男性二人組だったし。

《2回目で気づいた点》

  • アンスバッハの人は実は冒頭にほんのちょっと出てすぐ死ぬwラップ少佐と二役なのだが、フィナーレではドレス姿のジェシカと並んで登場(出で立ちはアンスバッハのまま)という“判る人には判る”配慮の細さ。歌う曲も第一幕でヤンとジェシカが歌った在りし日を綴る歌だったし。
  • むー個人的に哀しかった改変は、ラインハルトが陛下を赦したことでも、オベの「皇帝は亡くなった~♪」でもなく、ドミニクさんのキャラかなぁ。あんな判りやすい「帝国も同盟もフェザーンの掌で踊ってればイイのよ。おっほっほ~♪」なキャラではなく、もっと複雑な内面の女性なんだよぉ~。ルビンスキーに協力しながらも、彼に対して批判的な一面も持ってるんだよぉ~。

《さらに追記》

  • アンネローゼ役の人が故・夏夕介さんの娘さんだったとは。美しく気品もあって、(序列はよく判らないけど)銀橋には立たないのに重要な役を請け負ってるなぁ~とは思ったけど。

*1:前に見たのは安蘭けいさんの「エル・アルコン」。