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グインサーガの82巻目を読んでみた

 この巻はおもしろかった!アドリアンカーッコイーーーっ!!!

アウラの選択―グイン・サーガ(82) ハヤカワ文庫JA

アウラの選択―グイン・サーガ(82) ハヤカワ文庫JA

 レムスは自身の魔力に溺れながらも、その実、ヤンダル・ゾッグの脅威に怯えていた。とりわけアルミナに産ませた王太子アモンは生後2ヶ月でありながら、既に少年の姿を形成した恐るべき魔物であった。レムスと決裂したグインは、クリスタルパレスより幽閉されていたリンダらを連れて脱出しようとするが、多勢に無勢で追い詰められてしまう。グインの脳裏に閃いたのはパレスの地下に眠る古代機械。近づく者を選ぶという古代機械は初めて訪れたグインをマスターとして承認した。

 グインのどきどきお化け屋敷大たんけん、パート2。

 これは、今後の展開を知らずにリアルタイムで読んでいたら興奮しただろうなぁー。たった一晩、いや数時間の物語ですが、その中身は幻怪、悲哀、再会、決裂、愛僧、凄惨、勇武、神秘、そして奇跡とまあいろいろてんこもり。最後に一気にカタルシスが来るというのも含めて、ひとつのアトラクションのような展開でありました。古代機械がグインを受け入れるであろうことはなーんとなく想像はついていたけれども、どうやら「適格外」と見なす天上の意思もあるようで、本当にグインはどういった経緯でこの世界に「落とされた」のでしょうかねえ……。
 レムスはねぇ……同じく凡人の一読者からしてみると(恐らくグイン視点でも)、その劣等感苦しみも十分判るし、悪霊憑きであることを知っててただただ放置・傍観・あまつさえ観察対象としていた某連中にもかなり責を負う所はあるとは思うけれども、やはり人間どこかで腹をくくらなければ。そこからずるずる逃げているからこそのグインの「餓鬼」発言なのだろう*1。リンダをグインに与えて、後ろ盾になってもらおうという発想もね、情けない限り。……いつぞや見せた賢君の兆しは何処へ逝ったーーー!!!一応、父親にもなったことだしさぁ。そう、父親です。レムスよ、あのアモンってガキはかなりヤバい香りがプンプンするのですが……あんなの突きつけられてまだ闇の力にしがみつくかね。うう……ヤンダルの魔力によって本来の賢明さが失われていると思いたいが、どうやらそうでは無いっぽいし……(いやいや、まだわからんぞ)。でも、なんだかんだでレムスにはやっぱり同情(スイマセン私はこーいう人間です^^;)。パロ回復から今日びの内乱まで、レムスサイドにもいろいろ、いろいろ暗闘・苦闘があったんだよなぁ。なのに作者はナリスのことばっか……あんまり書くとネタバレになってしまったろうが、それでも仮にも「8人のメインの内の1人」なのだから。もう少し処し方があったんじゃないかとか……ぶつぶつ。
 そして、リンダです。グインの来訪に合わせるように魔道の眠りより覚醒した彼女。やはり運命の相手?アウラの化身?諸々の登場人物と異なり、初登場時から殆ど変わってない彼女が嬉しい(古代機械のもとに行くときに「何ですってェ」と素っ頓狂な声をあげたりw←ェがカタカナなのがポイント)。そういやレムスの囲みを破る際に、緊張感の真っ只中、一瞬だけレムスとリンダが素に戻って(?)姉弟としてため口をきくシーンがあるけれども、そのワンシーンがなんともいえないのだ。妙に可笑しく、懐かしく、哀しく。
 レムスと対照的に男気をみせたアドリアン子爵。あんなカッコいいキャラだとはこの巻を読むまで思ってませんでした(どちらかというと女々しい奴だと……)!もう1人のリンダ親衛隊員、アウレリアスは今どこで何してる!?何とか助かって欲しいが、嫌な予感がする(泣)。この少年もあっという間にグイン信奉者になったけれど、本当にグインは「男の子」によくモテる。ゼノンにリー・リン・レンにシャオロンに、童子の如く素朴な魂の持ち主という点ではセム族やラゴン族にも。そういえば、レムスだけが10代の少年にしてはかなり長い間グインと行動と共にしておきながら、彼に心酔するに至らなかった。今、思えば。

 読み方、意味を調べた漢字。満腔、まんこう。からだじゅう、満身の意。満腔の信頼を寄せる。諒、まこと。言葉や行為にうそや偽りのないこと。

*1:その点から云えばシルヴィアも……なんだけどさ