かんまんこうろうひ・はてなブログ編

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グインサーガの87巻目を読んでみた

 やはり20年付き合ったキャラクターだからあれくらい思い入れがあって当然……なのかもしれないけど、やっぱりちょっとヒイてしまった>あとがき。アムネリスとの扱いの差もだが(人のことは云えないが)いい大人がこんなキャラクターに酔う文章とか……。

ヤーンの時の時―グイン・サーガ〈87〉 (ハヤカワ文庫JA)

ヤーンの時の時―グイン・サーガ〈87〉 (ハヤカワ文庫JA)

 イシュトヴァーンはグインの説得を受け入れ、一時的に協定してレムス・パロ軍に当たることに同意したが、ゴーラ軍によってマルガを蹂躙されたヴァレリウスとリンダはその提案に拒絶反応を示す。判断は神聖パロ国王アルド・ナリスに委ねられることになった。無理を重ねる生活で体の弱り果てていたナリスは、遂に宿願であったグインとの会見を果たし、感動とともに彼の中に大いなる力を感じ取る。グインに古代機械の秘密を話し終えると、ナリスは眠りについた。静かな、旅立ちであった。

 そんなにヴァレリウスの腕の中で死なせたかったですかそうですか。

 あとがき曰く「ただ運命の流れに従って筆を走らせた云々」……確かにあれだけの世界観を生み出す作者はそれなりのトランス状態に入るだろうし、そこは一読者の身には到底理解できる筈のない境地でしょう。でも、あの場でわざわざヴァレリウスを呼んできて、あんな体勢を取らせたのは作者の欲望趣味全開としか思えないのだが。また、ラストシーンでヴァレリウスがナリスの棺の前で意味深に呟いた「今夜は十分に使える」…何を?読み返したけど目的語がどこにも見当たらないのだけど。一体何を?しかも結界を張った上で。意味深である。…………………………………………………※※※!?

 ついに、ナリス退場の巻まで読み進めてしまいました。まさか、グインとの邂逅直後にお亡くなりになるとは……しきりにナリスの口から「(自分と)グインが出会った時に何かが起こる」と最近繰り返されていたけど、その「何か」というのが他ならぬ自分自身の死というのも、ある意味ナリス様らしいというか。アムブラ篇の頃に自身のことを「どこまでも中途半端な存在!」と嘆く一節があったけれども、科学と魔道と世界生成の謎を解く探求者でもなく、中原を支配下に置く覇者でもなく、一時期目指した(?)世界を暗黒の時代に引き込む悪魔の使者でもなく、ただ「グイン」という存在に古代機械の秘密を託す者として最後は立ち回り死んでいったのは、やはりナリスの宿命だったのでしょうか?でもあんさんがもうちょっとレムスを立てるなり支えるなりして安寧を保とうとしてたらおそらくその後の展開は……ぶつぶつ。
 グインとイシュトヴァーンは一国一城の主としてもはや心許せぬ間柄になってしまったかと思えば、意外に両者ともに友誼も敬意も残っているようで。の半面、敵愾心も堂々むき出してみたりして。振り子のような二人の関係性は今後どこへ向くのだろう……ってあくまで心の交流では、ですよ。外交としては行き着く先はもはや一つしかないもんねーーーっ。ああ……最初からいずれは全面戦争、って腹くくってる王様ってどうなのよ(汗)。

 読み方、意味を調べた漢字。懸河の弁、けんがのべん。水を上から流すように、とどこおりなく弁舌を振るうこと。一顰一笑、いっぴんいっしょう。笑ったりしかめたりする表情の変化のこと。㤁ない、???。検索しても出ず。そもそも日本語ではあまり使われない漢字らしい。87巻45p。