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グインサーガの88巻目を読んでみた

星の葬送―グイン・サーガ〈88〉 (ハヤカワ文庫JA)

星の葬送―グイン・サーガ〈88〉 (ハヤカワ文庫JA)

 ナリスを喪い絶望にくれるリンダであったが、グインの励ましによって力を取り戻し、亡き夫の遺志を継いでパロと中原の平和のために尽力することを決意する。マリウスは亡き兄と遅すぎる再会を果たし、イシュトヴァーンもまた哀惜と後悔の涙に濡れていた。追悼の灯火は無数に煌めいていたが、そんな中グイン率いるケイロニア軍は次なる戦場へと出発するのだった。

 マリウス、※ってよし。って書いていいですか?

 何が「逃げるのはやめた」だ。思いっきり兄貴と縁を取り戻せなかった辛さから逃げてるじゃないか!そもそもアンタ今までどこに消えてたの?グインを呼びに行ったんじゃなかったの?もーイリス(タヴィア)と出会った頃は軟弱ではあっても、それなりに一本筋の通った奴だと思っていたのだが……、最近ではすっかりあっちのにふらふら、こっちにふらふら。「人生の筋を通す」とか、どの面下げて云うのだろう。それでも人生に変節は付きものだし、そうすることで苦しみを出来るだけ回避しようとする生き方も間違っているとは思わないが、それを取り繕う言葉がこれまた思いっきり自己中心的&美麗な言葉で正当化しまくりなのが、もう読んでるこっちが恥ずかしいくらいですw。ヴァレリウスはよくぞ怒ってくれたが、出来ればもっと云ってやって欲しかったくらい(一応敬語で非難していたが、内心は相当罵倒していたんじゃないかな。このへタレ野郎!とか)。
 殯の宮が時として、正妻と愛人の対決の場と化すのは定番であるが、ナリスの通夜(リンダが喪主)でそんな一幕があるとは思わなかった。リンダがフェリシア夫人を嫌いだったというのも意外だったが(あまり夫の過去にはこだわらないタイプと思っていたので)、フェリシアさんってあんなキャラだったのォ?「愛の嵐」篇の頃は、ずばりナリスのリンダへの想いを言い当て、むしろその気持ちに早く素直になるよう促すなど、ナリスの恋人というよりは人生の先輩格のようであり、夫人自身もその立場をわきまえている「大人」の印象があったのだが……。
 やはりというか何というか早速リンダに言い寄るイシュトヴァーン。焼けぼっくいに火がついたというよりも、ナリスを喪った悲しみを彼女で満たそうという本心がミエミエだ。ナリスの死によって、イシュトヴァーンにまたも十字架が増えてしまった。本人にそのつもりがなくとも、巡り合わせが良くないばかりにどんどん十字架が増えていくばかり。それが、彼の宿命なのか。