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グインサーガの外伝22巻目を読んでみた

ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)

ヒプノスの回廊―グイン・サーガ外伝〈22〉 (ハヤカワ文庫JA)

  • 前夜

 パロがモンゴールの侵略を受けるまさにその前日の安寧を、14歳のリンダの視点から描いた作品……なのだが、ディーンがまだマルガに居る風に語られたり、アルゴスに行ってるはずのベック公がこの話では国内にて結婚の準備を進めているとか「あれ?」と思う箇所も。あるいはそれらは何らかの謎かけであった可能性もあるが。意識してのことであろうが、文体が晩年のグインにしてはあまりくどくどしくなく、初期の頃に近づけようとした雰囲気がある。

  • 悪魔大祭

 これは木原敏江さんのイラストと共に読みたかった……と思ったら、掲載されたイラスト集を私持ってた(笑)。この闇王国はおそらくパロの遥か未来の風景……なんだよね。どれだけの歴史を経てこのような狂乱のソドムになるのやら。生きもせず死にもしない存在ってのは「イリスの石」にも出てきたテーマだったな。

 すっきりまとまった短編だったからか?ナリスの事件簿の中では一番マ……面白いと思える出来であった。シンプルながらもきちんと推理物だったし。そうそう、ヴァレリウスはアムブラ事件の以前はつねづね、自分こそはナリスを常に客観視でしているぞという態度を自ら強調していたんだよな。今にしてみるとそれは懸想の裏返しだったということで。ちょっとあの頃の屈折したヴァレリウスを懐かしむことも出来る話(?)。

  • アレナ通り十番地の精霊

 そういやオロ実家のみなさんは「風の挽歌」以降ピタッと出てこなくなってしまっていたのを今思い出した(笑)。グインやイシュトや果てはスーティ等、生まれながらに世界の命運を左右するエネルギーを内包する者たちの、ある意味向こうを張っているともいえるオロ実家の皆さん。実は栗本先生が広げに広げた風呂敷の、最も重要な繊維の要的存在だったのではないだろうか?

  • ヒプノスの回廊

 実は、グインの正体が判るという事で刊行直後にほんのちょっと立ち読みしたら……アウラのイメージが思い描いていたものと随分違っていたので驚いた。これじゃアウラはグイン呪いをかけた「魔女」ではないかぁ。それでなんでリンダがアウラの化身のような描写がなされるのかと思ったら、どこかの巻で「アウラは複数いる」との記述があって(5人姉妹だったか?)なるほどなァと。結局、グインが具体的にどんな罪を犯したのかは描かれてないし……(結果的にどこかの惑星、どころか星系を滅ぼしたのは間違いないようだが。案外、銀河系だったりして^^;)。でもとどのつまり、グインがランドックを追放されたのはアウラをフったから、この一点につきるのね。にしてもあのヒステリーで融通のきかない巨大アウラが大宇宙の元締め的な調整者なの?いまいち小物じゃないでしょうか?もうひとつどんでん返しがあったのかなあと勝手に想像。



 氷惑星の戦士は、1年以上前にグイン・サーガ読本ので読んだのですが、本当に構想の大もとで枝分かれした別次元的物話のようで、グインワールドには全く関わってこない作品なので割愛します。