「吸血鬼と怪猫殿」(98年刊)を読んでみた
「世紀末に跳ぶ」の丁度1年前刊行。
- 作者: 赤川次郎,長尾治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1998/07
- メディア: 文庫
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この巻にはみどりも登場……なのだが、名物の(?)大食い描写はなりをひそめ、なんと男の子に言い寄られてそれを華麗に裁くキャラになってる!ひょっとして、過剰に食い意地がはってるキャラクターにクレームが付いた……とか!?
- 1話目。狼男ものドラマの主演に抜擢された無名役者が、あまりに見事になりきってるので本当に狼男では!?と疑われる話。BL?と思わしき描写があるが、当時のコバルト路線の影響かいな?
- 2話目。骨肉の財産争いに巻き込まれ、愛猫共々殺された女性が死してなお復讐する話。黒猫だし、死体と猫が共々……ということでポーの小説のオマージュなのかいな。ポルターガイストで死体がダンシングする場面がシュールを飛び越して完全にギャグw。
- 3話目。不幸な事情で両親を一度に亡くした少女が、生活費を得るためにある十字架を背負うが、彼女の周囲で不審な事件が続出し……という話。オチは例によって(すみません)序盤で読めるものの、これは非常に重たい話ではなかろうか?「人間、一度や二度は間違いを犯した方が味のある人間になれるものだ」というクロロックの一言が嬉しい。ラノベと侮るなかれ。単純なれど名言はちらほらと。「何かあると必ず後で『起こると思ってた』と言い出す手合いはいるものだ」「人はパンのみにて生きるにあらず」
三編とも怪奇寄りの話だが、クロロックが無敵(凉子という弱点はあるんだけど!)なので常に余裕ではある。