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グインサーガの46巻目を読んでみた

闇の中の怨霊―グイン・サーガ(46) (ハヤカワ文庫JA)

闇の中の怨霊―グイン・サーガ(46) (ハヤカワ文庫JA)

 ユラニアのネリイとクムのタルーは手を組み、モンゴールそして互いの身内をも出し抜いてゴーラの実権を奪い取る算段を立て始めた。一方イシュトヴァーンは、すっかり弟分となった少年リーロが生まれ故郷を捨てイシュトについてゆく意向であると知りかつてなく幸福の絶頂にあった。しかし、リーロは嫉妬に狂ったアリによって極秘裏に暗殺されてしまう。

 彼と接した登場人物からはとことん嫌われ忌まれ、グラチウスをして「毒虫」と呼ばれ、作者からは「サーガ始まって以来の大悪役」だとか「全く自分が投影されていない・感情移入もできない」とかあとがきでさんざんけなしまくられるアリストートス卿ですが、個人的にはあまりピンと来なかったんですよね……むしろイシュトの勘気に翻弄されるのが哀れだとか、「陛下がヴァシャの皮に滑って転ぶと、ヴァシャの皮の上を優雅に歩いてみせる」誰かさんのほうがよっぽど陰険にかけては上等じゃないかとかそんな風にとも。しかし……今回リーロをやってしまったのはさすがに大人気が無さすぎる!イシュトもなんであれだけブチ切れしておいて矛をおさめるかなぁ……。あと、モンゴール奪回の頃はめちゃめちゃ切れる諸葛孔明風に描かれてたのに、いつのまにやら2流の策士に堕とされてません?>アリ。
 見方を変えると真面目に憂国している風に見えなくもないネリイ……というか真面目に国の未来について考えているんだよね、一応。と思えば、タル―のもとに忍んで行く描写も面白おかしく捉えるのは不謹慎……と思いつつも、ひたすら会話だけで進める夜這いのクライマックスの描写を栗本先生は当時どんな気持ちで書いたのだか(爆)。