かんまんこうろうひ・はてなブログ編

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グインサーガの126巻目を読んでみた

 これが刊行された頃に、栗本先生はお亡くなりになったんですよね……。

黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)

黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)

 強引にやって来たゴーラ王イシュトヴァーンを追い返す力はパロには無かった。後ろ盾のケイロニアは国元で突如起こった疫病騒ぎの為に頼ることができず、仕方なくリンダはイシュトをクリスタルパレスに迎え入れる。案の定イシュトはリンダに求婚するが、リンダはそれをマリウスとの偽りの婚約やナリスの死に纏わる恨みつらみを持ち出して撥ねつける。だが、内心はイシュトの熱い求愛に揺れていた。

 ああもうイシュトには、ホントにいい加減にせいよと、云いたくなりますねえ!(←遅いよ)

 ああもう、イシュトの都合のいい物言いに思わずくらりとなるリンダの気持ちはわかるが(ナリスに操はささげなくて良いと思います)、いち読者からしたら「いい加減にしろー!」なんだよね、イシュトの立ち回りはさ。ナリスにも、そしてアムネリスにも最初は調子が良かったよねえ~!それが、手に入れた身分が大して面白くなかったからだの、本当は好みじゃなかっただの、状況が変わったからだの、自分のその時の方向性(という言葉すら相応しくないな。ただ向きたい方角と云うべきか)に合わなくなったら即もっともらしい理由をつけて裏切るのがイシュト!アリが勝手にやった盗賊皆殺しの件とか、グインの作戦に乗っかっただけの「アルゴンのエル」とか、本人の責任ではなく背負うことになった十字架もあるにはあるが、ご本人の中から「義理」やら「信頼」やらという概念がごっそり抜け落ちているのは確かでしょ。しかしながら人を惹きつける強烈な魅力はなぜか持ち合わせているという……始末に負えんぞ。この男、今やグラチーやヤンダルよりもとんでもない悪党じゃないかと。
 リンダはナリスが存命だった頃は影が薄かったけど、最近はヒロインしてますなあ。そんなリンダへの助言役?としてマリウスが頼りないなりにも真面目に王家の一員として役割を果たしていることがちょっと意外であった。それまで王族なんて嫌だ嫌だってずーっとぶつぶつ云ってたからさw。イシュトの訪問を前に逃げたのはヘタレだが、ヴァレは「適切な判断」と褒めてたのでそれで良かったのかな。出来れば対決(?)してほしかったが……。

 魔導師の暗殺稼業にギルドの許可がいるとか初めて知った。ブランには(その気になれば)すぐに刺客を差し向けられて、イシュトはそうはいかんのか。将軍と国王の差か。どちらもパロの為?の暗殺というのは共通してるのにね。せめてブランのように体調を崩させるとかそんな措置でも取ればよかったのによう。